教育

持久走大会考

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小学校では冬の風物詩ともいえる持久走大会。
昔はマラソン大会とも言われていました。

うちの学校では、
1,2年生 1000m
3,4年生 1500m
5,6年生 2000m
を走ることになっています。

学校によってはもっと長い距離を走らせるところも
あるみたいです。

私は体育主任なので持久走大会を運営する係なのですが、
おそらく学校の先生の中で一番テンションが低いのです。
出来ればやりたくないとさえ思っています。

そもそも、指導要領の体育の内容に「持久走大会」は含まれていません。

「体つくり運動」の「体を移動する運動遊び」の中の例として、
学習指導要領解説に次のような記述があります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
【1,2年生】
○一定の速さでのかけ足
・無理のない速さでのかけ足を2~ 3 分程度続けること。

【3,4年生)
○一定の速さでのかけ足
・無理のない速さでのかけ足を3~4分程度続けること。

【5,6年生】
○時間やコースを決めて行う全身運動
・無理のない速さで5~6分程度の持久走をすること。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

持久走大会では
「無理のない速さ」にはなりません。
友達と競争をするからです。

「2~3分分程度」ではありません。
いちばん速い子で5,6分、遅い子では10分以上走ることになります。

「続けること」が目的ではなく、
「決まった距離を速く走ること」が目的になってしまっています。

よく、持久走大会の応援で、「ラスト、がんばれ!!」といって、
ラストスパートを促す声かけは「一定の速さ」で走るという
ねらいに反する声かけです。

もちろん職員会議で提案し、持久走大会の在り方について
変えていくことはできます。

しかし、それは極めて難しいのです。
次の理由からです。

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その1 前例主義
学校の先生には官僚的な思考を持つ人がとても多いです。
今までと違うことをしようとすると、相当の抵抗があります。
失敗することを極度に嫌うというのもあるでしょう。
失敗して、バッシングを受けることを恐れる心理もあるでしょう。
とにかく、前例を第一に考える傾向が強いのです。

その2 校長の意向
職員会議は基本的に議論が許される場ではありますが、
最終的な判断をするのは校長の役目です。
持久走大会を変えようという校長は極めて少ないです。
なぜなら、自分たちがそんな持久走大会を経験してきたからです。
「わしらの若いころは、もっと長い距離を走っていた。」
などという論理を持ち出して、最終判断を下します。

その3 地域や保護者の意向
持久走大会には、地域の人や保護者が応援に来ます。
子どもたちががんばる様子を楽しみにしているのです。
コミュニティースクールと題して地域の意見を学校運営に取り入れる
学校運営協議会という会ができました。
そういった状況で、学校行事が学校側の意向だけでは変更できなくなっています。
地域や保護者からの意見を取りまとめるのには極めて面倒な作業が必要です。

このほかにも、
「足の速い子の活躍の場だから」と先生方の中にも
持久走大会を支持する人たちがいます。
そんな先生は決まって、
走るのが好きで自分も地域の駅伝大会に出ているような人です。

もう少し若かったころは、
それでも持論を展開し、いろんな人と議論してきました。
職員室で浮いた存在になったり、
校長先生と喧嘩したりということもよくありました。

今は、上手な着地点を見つけるようにしています。
それは、
「体育主任ががんばらないこと。」
必要最小限の計画を立て、
子どもたちの負担が少なくなるようにするようにしています。

子どもたちには、「○○君は速いね。」などと競争をあおることは言いません。
ただ、
「速さを変えないことが上手な持久走ですよ。」
と話し、一定の速さで走っている子を褒めるようにしています。

ぜんそくの子もいますし、
生まれつき心臓に疾患のある子もいます。
私の学級にも、大柄で走るのが苦手な子がいます。
特にその子には気を使います。

一定の距離を速く走るのがよいこと。
ではなく
一定の時間に一定の速度で走るのがよいことなのです。

持久走大会一つとってみても、
学校文化というものは固定化された文化だなと考えさせられます。

今年も、事故なく大会が終わることを祈っています。

-教育

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