教育

山口県の教育政策に物申す〜相対評価に引きずられる人々〜

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全国学力・学習状況調査

平成19年度から始まった大規模な学力調査です。
全国の小学6年生と、中学3年生が調査対象です。

山口県において、この調査の「平均点」が各学校の一番の関心となっています。

全国平均と比べてウチの学校はどうか。
県平均と比べてウチの学校はどうか。

この平均値より低い学校は「指導の対象」となります。
県教委や市教委から「指導」が入るのです。
かつて、この指導対象の学校になったことがありましたが、
年に何回かそのための市教委訪問、県教委訪問がありました。

そのため、各校の校長先生は学力調査の平均点をものすごく気にします。
指導の対象となった学校は、不名誉だということなのでしょう。
校長会で肩身がせまい思いをするのかもしれません。
今後の校長人事にも影響するのかもしれません。

というわけで、校長先生は学力調査の平均点が気がかりでしょうがないのです。
5年生担任になった時に、なんども校長先生からこう言われました。
「河村さん、頼むぞ!!」
「学力調査の平均点を上げろよ。」という意味です。

もちろん、私たち教員の最も大切な仕事は、
学習指導により学力をつけることです。
ですから、「学力を上げろよ。」という指示について
がんばることはやぶさかではありません。

しかし、
「ちょっと評価方法がズレていませんか。」
と思うのです。

公立学校の評価は、「絶対評価」です。
簡単に言うと、「これが出来たらオッケー。出来なければダメですよ。」
と言う絶対的な基準があるのです。



それに対して、「相対評価」は、
「ある集団の、上位何人はオッケー。下位何人はダメですよ。」
と言う相対的な基準で評価することです。

私たちは子どもたちの評価を「絶対評価」で行うことになっていますが、
なぜか、
「全国平均に比べて、・・・」
「県平均に比べて、・・・」
と言う相対評価に引きずられる人がいます。

山口県では、独自の学力テスト、
「学力学習状況確認問題」を作っています。

その結果を集計して、県の小学生の平均点との比較を行っています。
個票として、県全体の同学年お子どもたちを母集団とした、
ヒストグラムを保護者に配布しています。
「あなたのお子さんは、県全体で言うとこの辺りにいますよ。」
ということがわかるグラフです。

これって、おかしくないですか。

絶対評価はどこへ行ったのですか?
相対評価に引きずられていませんか?

相対評価は他の人との比較ですから、
「全員合格!!」
という事態が起き得ません。
どれだけがんばっても、
「もっとがんばれ。」
「〜ちゃんはもっといい成績とってるよ。」
ということになってしまうのです。

せっかく、相対評価から絶対評価へと変わってきた学習の評価に、
いつの間にか、相対評価が入ってきてしまっているのです。

全国学力・学習状況調査の目的は、
「学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。」
というものです。

子どもたちの学力の順位づけでもなければ、
各学校の順位づけでもありません。

現場の管理職や、
教育委員会などで教育政策を担っている人には
そもそも論に立ち帰って、考えてほしいものです。



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